先日『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』を観ましたので紹介させていただきます。
これは以前映画化され大ヒットした『この世界の片隅に』を、原作準拠に作り直した完全版になります。それどころか原作にないセリフやシーンを追加することで、さらにわかりやすくなっているように思いました。
この作品はだいぶ前のブログにも書きましたが、最初の映画化の際はとても大きな人間関係の部分が丸々カットされていました。それは主人公すずさんの夫『北条周作』と、すずさんの友人である遊女『りん』の関係です。
確かにここはなくてもストーリーは成り立つのですが、入ることでより登場人物の人間性と言いますか、深み、そして儚さが出ているように思います。
「過ぎたこと、選ばんかった道。みな、覚めて終わった夢と変わりゃせんな。」
北条周作
「人が死んだら記憶も消えて無うなる。無かったことと同じになる。それはそれで贅沢なことかもしれへんよ。」
りん
せっかくなので私の心に残ったセリフをご紹介。
いつどうなるかわからない、そして決して後戻りのできない人生に、登場人物それぞれの向き合い方が表れているように感じられました。
ちなみに映画ではなく原作だけにあるシーンに、私がとても気に入っているセリフがあります。
それはすずさんの義姉『黒村径子』が、平和を広めようと訴える手紙を受け取った際の言葉、
「知らぬ人からよくわからぬ事を指示される事自体不幸である。」
というもの。
中身はともかく、径子の気丈さがよく表れていて大好きです。
そんな強さにちょっとだけ憧れてしまうは、ご法度でしょうか。
そんな『この世界の片隅に』、原作の漫画にアニメ映画が二種類、実写化も二回されるなど、様々な媒体で楽しめるものになっています。ぜひ気になる作品をチェックしてみてはいかがでしょうか。