【新潟】HSP交流サークル

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HSPな日々⑭~味噌ラーメン~

私には疲れた時に行くラーメン屋さんがあります。そこの特製味噌ラーメンは絶品で、野菜とニンニクがからみあった濃厚な味噌スープは、何となく疲れた体に元気をくれるような気がするのです。
また私がその店を好きな理由は味だけではありません。そのお店は時間帯を選べばではありますが、空いていることが多いのです。日頃から人込みや人前で食事をすることが苦手な私にとって、それは何よりもありがたいことでした。

先日仕事終わりに行った時もお客は私一人でした。いつもと同じカウンター席に着いて、いつもと同じメニューを頼む。そんなルーティーンもまた、疲れた私を癒してくれます。
途中で壮年のご夫婦が来店し、おそらく初めてなのでしょう、メニューの内容を確認しながら店主にオーダーしていました。

実はこの店主には少しだけ不思議なところがあります。ご本人は意識しているかわかりませんが、オーダーを伝えると不思議そうな声で返事をするのです。
最初私が行った時も戸惑いました。自分は珍しいメニューを頼んだのだろうか。おかしな客に見えているのだろうか。そんなことを心配したものですが、何度も行く内にその疑念は払拭されました。なにせ毎回同じ反応をされるのですから。こういう店主なのだなと思いながら、それが空いている理由の一端でもあるのではと少し考えています。

案の定、壮年の夫婦が訝し気な雰囲気になったのを感じました。大丈夫、あなたたちは変ではないですよ。私は心の中で伝えます。
そしてこれも勝手に感じていることなのですが、店主はあまり急かされるのが好きではありません。ラーメンを作っている手さばきは見事なのですが、お会計を待つ客が並んだ時など、端から見ているととても焦っているように感じることがあります。もちろん実際のところはわかりませんが、私が行く時は店主一人で切り盛りしているので、あれこれ同時にこなさねばならない時はテンパるのも無理はないと思います。しかしそんなところにも私は親近感を覚えているのです。

その日はもう一人男性が来店し、私と同じカウンター席に座りました。先に来ていた私はほとんど食べ終えており、残ったスープを味わいながら店に置かれたテレビを観ていました。静かな店の中で知らない三組のお客が同じテレビを観る。そんな不思議な一体感もまた、心地良い。

店の奥では店主がラーメンを作っています。壮年の夫婦はラーメンとギョーザとお酒。カウンターの男性はチャーハンとギョーザ。しかも壮年夫婦はそれぞれ細麺と太麺でオーダーしました。一度に数種類のメニューですので、鍋もそれぞれ違います。私はすでに食べ終えていたので後は会計をして出るだけですが、他にお客もいない店内。焦る必要もありません。店主がゆする鍋の音を聞きながら、しばらくラーメンの余韻に浸りました。

私が席を立つのは、二組のメニューが運ばれた後です。店主がそれぞれのテーブルに皿を運び空になったお盆を片手に戻る際、タイミングを見計らい席を立ち会計をお願いします。心なしか店主の顔が穏やかに見え、私はまた少しそのお店が好きになりました。

実際には相手の考えていることなどわかりません。ただそのお店で居心地の良さを感じられたのは事実です。店主は相変わらず不思議そうな声でオーダーを受けますが、それももう気になりません。また疲れた時、私はあの店に行くのでしょう。

お店を思うともっと繁盛してもらいたいものですが、欲を言えばそのまま変わらずにあってほしいと思います。店主も変わらずにあってほしいと思います。