【新潟】HSP交流サークル

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HSPな日々㉔~ツバメの季節~

巷ではそろそろツバメの巣作りが始まる季節ですが、私はこの時期になると思い出すことがあります。

今から10年くらい前、大学を卒業した私は専門学校に行くお金を貯めるため複数のアルバイトに勤しんでいました。その時働いていたコンビニは2階建ての建物の1階にあったのですが、その2階の屋根の裏辺りにツバメの巣があり、ある時その巣からツバメの雛が落ちているのを見つけたのです。見つけたのは1羽だけで他の雛の姿はなく、巣にもいる様子がありません。他のスタッフに聞くと、毎年巣を作るが壁の材質のせいなのかいつも落ちてきてしまい、死んでしまうとのこと。私はその雛を連れて家に帰りました。

連れて帰ったはいいがツバメなど育てたことはありません。いろいろと情報を調べ、その日はお湯を入れたペットボトルを暖房替わりにして発泡スチロールの箱の巣を作りました。雛は見るからに弱々しく目もほとんど開けられなかったものの、次の日になると鳴き声を出し始めたので安心しました。しかし困ったのはエサ。買ってきた鳥のエサを全く食べないのです。
どうしたものかと悩んだ末、野鳥の会に電話をして助言を求めたところ、巣の近くに入れば親鳥が餌を運んでくれるかもしれないとのことで、コンビニのオーナーに許可を取り巣を括り付けた自転車を店先に置かせてもらうことにしました。
そうしてしばらくしたところ、なんと本当に親鳥が餌を運んで来るのですね。なんでも親鳥は雛がいなくなると一定のエリアを探し続けるのだそうな。どこにいるかわからない雛を一心不乱に探していたと思うと心が痛みます。
そして夜になると家に連れて帰り、またペットボトルの暖房を入れて寝かせるのですが、その日からは糞もするようになり、巣の掃除業務も加わりました。雛は夜の気温により簡単に凍死するとのことだったので2,3時間おきにペットボトルを交換したりと、なかなか大変な日々でした。
そんな生活を一週間ぐらいした後、私が家に連れ帰ろうとすると雛が箱から落ちていることがありました。広いスペースに場所を移し離れて見ていると、どうやら飛ぼうとしている様子がうかがえます。体も大きくなってきましたし、そろそろ飛べるのだろうか。しかし一人でできるようになるのだろうか。いろいろ心配になりました。

そして翌日の夕方。巣の中にもう雛の姿はありませんでした。バイトの合間にちょこちょこ見ていたため猫や車にやられたことはないと思うのですが、真相はわかりません。

その後親鳥が作った巣は私が壊しました。巣が残っていると同じ場所に作ってしまうらしいからです。壊した巣の中を恐る恐る覗いたのですが、やはり他の雛の姿はありませんでした。そして翌年、ツバメが巣を作ることはありませんでした。バイトを辞める時にこの建物に巣を作らせないようにと引き継いだのですが、今どうなっているかはわかりません。

私が拾ったのはイワツバメという種類で、ピイピイと鳴くツバメでした。気のせいかもしれませんが、しばらく一緒にいたせいか、あの雛の鳴き声だけは聞き分けられるような気がしました。

雛がいなくなって1ヶ月くらい経った頃でしょうか。山の麓の田んぼ道を一人でサイクリングしていた際、あの雛の声が聞こえた気がしました。上を見上げると電線にとまった二羽のイワツバメ。私はあの雛だと思うことにしました。幸せになれたのだと、そう思うことにしました。